【元JAXA職員が考える】宇宙の視座とは何か?【SDGsとのつながり】

「宇宙教育」の分野では【宇宙の視座】というキーワードで、宇宙から地球を俯瞰し共生社会の認識を深めていく意義が語られています。しかし「そもそも宇宙とは何か?」「何をもって宇宙の視座というのか?」少し曖昧です。

そこで、自分は宇宙をどう捉えていて、宇宙の視座に何を見いだしているのかを整理したくなったので、記事にしてみました。もし参考になりそうなら、続きをお読みください。

【この記事を読んでわかること】

  • 宇宙とは
  • 宇宙という言葉が意味するもの
  • 宇宙の視座「時間的広がり」
  • 宇宙の視座「空間的広がり」
  • SDGsとのつながり
  • おすすめのワークショップ

宇宙とは

様々な捉え方ができると思います。夢やロマンの対象からビジネスへの広がりまで考えると、次のように整理できるかもしれません。

例えば「SF(Sience Fiction/サイエンス フィクション)」という括り。科学に基づく知識を使った創作物には宇宙を舞台にした物語が多いです。私は『機動戦士ガンダム』が好き。初代ガンダム世代として心を躍らせていましたが、いまや空想が空想ではなくなってきた感があります。

次に宇宙と言えば「天文」でしょう。月や太陽、惑星の話からブラックホール、そしてビッグバンまで知的好奇心を刺激する話題が多いです。望遠鏡を使った地上からの観測、趣味も含めた写真撮影に加え、地球外での探査活動も活発になっています。いわゆる宇宙科学も天文分野に含まれているのかもしれません。

そして「宇宙開発」はSFの世界観を現実に近づけてきました。もう当たり前のようにロケットや人工衛星、宇宙ステーションなどを使い、人類は地球の外側に進出しています。もはや地球低軌道での活動は至極当然、火星への進出もあっという間かもしれません。

最後は「宇宙ビジネス」。人工衛星を使った民間企業による地球観測は気象予報に欠かせないものとなり、インターネットの普及にも通信衛星が貢献しています。さらにその勢いは加速し、世界中で宇宙機を使った新しい商業サービスが次々と生み出されています。もう私たちの暮らしは宇宙なくしては成り立たなくなっているのかもしれません。

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宇宙という言葉が意味するもの

前述のように「宇宙」の捉え方は様々ありそうなのですが、そもそも「宇宙」という言葉自体が何を意味しているのだろう、という疑問がありました。

そこで色々と調べて辿り着いたのが、金木利憲さんが著した『「宇宙」の語源と語義の変遷』―古代中国語と近代科学用語の接点―という明治大学の部門報です。

金木さんは明治大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程修了され、日本文学・日中比較文学・書誌学がご専門とのこと。その研究の一環としてまとめられたようです。

この資料でも触れられているように、宇宙の語源の一つとして有名なのが中国古典の一つ『淮南子(えなんじ)』の斉俗訓に現れる「往古来今、謂之宙、四方上下、謂之宇。」という一節。いくつかの国語辞典でも出典の一つとして記されています。

もちろん他にも語源はあるようですが、少なくとも中国の春秋戦国時代には広く使われていた言葉であること。そして「空間だけでなく、時間の概念も含む、この世界全体を意味する」言葉だったと金木さんは結論付けています。

その後「宇宙」という言葉が日本に入ってきてからは、『日本書紀』などの古典書物にも記されるようになったそう。「天下・国家・この世」といった意味合いで使われてきたようですが、明治維新後に西洋近代科学が輸入されて広まるにつれ変化が現れたのではないか、というのが金木さんの考察です。

つまり ”universe” や “cosmic” “space” といった用語に「宇宙」が訳語として充てられることで「星間空間・大気圏外の空間」という意味が加わり、学校教育を通じて広まったのではないかと。

ちなみに当社名である「株式会社SpacePLAN-K」の “Space” も多分にもれずの事例です。

しかし【宇宙×教育】を深めていくにあたり「宇宙」という言葉に込められたそもそもの意義を事業に取り込んでいかねば、と考えるようになりました。

宇宙の視座「時間的広がり」

様々な活動をする上で「時間」を意識することは多いと思います。「今が大事」という場面もあれば「過去から学び教訓とせよ」とか「未来を語れ」など、時間軸を行ったり来たりします。

でも、私たちはこの時間軸はどれくらいの長さで意識しているのだろうか?

個人で考えれば人生の長さが基準になるだろうし、お爺ちゃんお婆ちゃんから孫や曾孫までのつながりといった時間軸もあるでしょう。

あるいは、会社なら創業から廃業するまでかもしれませんし、文化や文明といったスケールもありそうです。

ここで大事なのは、大きな時間の流れの中で「今」がどういう意味を持つのか、そして「今」が「未来」にどうつながっていくのか、を想像すること。

そして時間軸を大きく揺さぶってみる姿勢も必要ではないかと思うのです。

つまりこれが、時間的な広がりにおける【宇宙の視座】ではないでしょうか。

何気ない一人一人の行動が、明日や明後日、1年先、5年先、10年先、50年先、100年先、千年先、1万年先につながっていく、という事実があります。

あるホモサピエンスが踏み出した何気ない一歩が今の社会を作り出しているのと同じように、誰かの何気ない行動が次々とつながって、何万年先を左右するかもしれない。

もしかしたら、これが古代中国の人々が持っていた感覚なのかもしれません。

宇宙の視座「空間的広がり」

【宇宙の視座】では、時間と同じように「空間的な広がり」を意識することは言わずもがなでしょう。

しかしそれは「地球」と「宇宙空間」といった単純な構造ではなく、複雑で、ありとあらゆる要素がつながりあっているという感覚。例えば「自分」から「家族」や「会社」「地域社会」「国家」「世界」「地球」へと続く生活空間のつながりなどです。

しかも、この生活空間は「人類」だけが独占しているものではない、という事実も忘れてはいけません。

SDGsとのつながり

SDGsと聞くと「みんな大事だっていうから取り組まなきゃ!」とか「最近流行ってるけど胡散臭くない?」とか「所詮お金儲けのネタでしょ?」とか「意識高い系な話だし自分には関係無さそう」とか、様々な受け止め方をすると思います。

もちろん他にもあって十人十色。いろいろな立場や価値観があるので当たり前です。

そこで、自分はSDGsをどう捉えていて、それを今の仕事にどうつなげているのか整理したくなったので、記事にしてみました。

(関連記事)
【元JAXA職員が考える】私にとってSDGsとは何か?【宇宙×教育につながるヒント】

少し前に、こういう書き出しで「私にとってSDGsとは何なのか」を記事にしました。

記事を書く中で、SDGsの本質とは何かを掘り下げ、自分がどう関わっていくべきなのかを考えました。そして、私たちには【Transforming Our World】が真に求められていて、それには大きな視点の転換が必要だと気づきました。

その具体的な活動として【宇宙の視座】を取り入れた【SDGs×宇宙×教育】を推進していくのが自分の使命ではないかと考えるようになりました。

おすすめのワークショップ

SDGsとゲーム×宇宙でチームビルドを支援

いま話題の【2030SDGsカードゲーム】を使ったワークショップです。

宇宙の視座でゲーム体験を振り返り、50年先のあるべき姿を想像しながら、変革につながる行動規範を探究しましょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました。
これからも「宇宙×教育」に役立つ情報を発信していきます。

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